第100回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2016.9.1(木) 18:30-20:00
講師
岡本隆嗣先生(西広島リハビリテーション病院 院長)
演題名
回復期リハビリテーション病棟のレベルアップ!スピードアップ!フォローアップ!
講演内容
回復期リハビリテーション病棟創設前の1960年代では、高齢化率が6%と低く、温泉療養地を中心に物理療法等が主流であった。80年代では、都市型リハ病院が出現しはじめた。90年代では、高齢化率が12%と上昇し地域リハの定義が作成された。そして、2000年、介護保険制度施行にあたり、介護保険適応以前に可能な限り要介護状態を軽減し、在宅復帰を推進する事を目的に回復期リハビリテーション病棟が創設された。これにより、寝たきり防止、ADL向上、在宅復帰を促進することを目指した。この当時、我々七栗リハ部門が最短で最大のリハ効果を目指して、訓練室一体型病棟、複数担当制、毎日全日リハ実施をコンセプトとしたFIT(Full-time Integrated Treatment)programを立ち上げる事になった。
2001年、誰もがよりよいリハを受けられるように回復期リハ病棟の質的向上を図り、当該医療の発展に寄与するため回復期リハ病棟協会が設立された。各種研修会事業の実施、研究大会の開催、研究雑誌の発行、登録施設の実態調査などが行われている。
2016年度、診療報酬改定により実績指数(在院日数で補正した運動FIM効率)の導入がなされ、リハの提供量に見合った効果を明示することがより求められるようになった。また、目標設定等支援・管理料の設定がはじまり、ICFに沿った目標設定を提示し、リハ計画に反映させる必要がある。
リハのスピードアップを目指す上で、効率的な運動学習が必要となる。そのために、ゴールに応じた難易度設定がなされた課題指向型訓練やロボットを用いた反復練習の実施、さらには個別訓練時間外での介入も不可欠となる。
リハのレベルアップのために、ICFの生活機能モデルに当てはめて、治療の対象を明確にする事とともにどの部分を代償にて補うかを決定するとよい。多専門職の専従配置(多職種カンファレンス)、集中的リハの実施(一日9単位リハ)、病棟生活でのリハ実施(恊働による活動向上)、情報共有・活用しやすい電子カルテシステムなども大切な事である。
リハのフォローアップとして、地域生活へのソフトランディングをいかに行うかが大切である。入院時点から、退院後の具体的な生活目標をたてる、退院前のカンファレンス、退院後の症例検討会も効果的である。病前の生活を知り、退院3ヶ月後の目標を立て、生活期スタッフと共有しプランに組み込み、その後必ずフィードバックを受ける関係を築く事が大切である。
会場
2016.9.6