第104回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2017.6.1(木)18:30-20:00
講師
木村浩彰先生 (広島大学病院リハビリテーション科 教授)
演題名
下肢切断者の回復期リハビリテーションについて
講演内容
日本では人口10万人あたりの切断者数は6.2人であり、アメリカやイギリスが30人以上であるのに対し、少ない特徴があるが、糖尿病・閉塞性動脈硬化症による下肢切断は社会的問題となっている。下肢切断者の回復期リハビリテーションの対象は、義足訓練が必要な患者であり、入院から150日まで算定可能となっている。下肢の切断レベルの決定因子は組織血液量や定量的評価(経皮酸素分圧)や術前の全身状態、合併症の有無、残存四肢の運動機能などがあり、総合的に考慮されるべきである。下腿切断手技は、幾つか存在するがその後の結果には影響しないという報告がある。切断レベルについては、膝関節を残す大腿切断よりも下腿切断を選択する方が、歩行能力や日常生活の自立度、健康関連のQOLは高い傾向にある。急性期で創治癒を優先させると、大腿切断が増えることになる。
急性期から回復期にスムーズに移行させるため、下腿切断術後クリニカルパスがあり、術後1日目(断端訓練:Ossur Rigid Dressing)、術後1週目(断端訓練:シリコンライナー)、術後3週以降(義足装着、歩行訓練:モジュラーソケットシステム)と練習の内容が決められている。これによって、術後早期に回復期リハビリテーション病院に転院することができる。
義足は、海外では非常に開発が進んでおり、コンピュータ制御による骨格構造義肢膝継ぎ手(高機能膝継ぎ手C-leg)や磁性流体制御が可能なRheo Knee3、坂道で足関節の底背屈角度が自動調整できるPROPRIO FOOTなど多くの種類が存在する。また、義足歩行の練習として空気を利用して体重を免荷しながらトレッドミル歩行が可能な機器も開発されている。日本の義足および義足歩行練習システムはまだ発展途上というのが現状である。
会場
2017.6.3