第105回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2017.6.27(火)18:30-20:00
講師
石田 藤麿 先生(国立病院機構三重中央医療センター脳神経外科 部長 )
演題名
病態生理で理解する神経画像診断-リハビリの仕事を楽しくするために-
講演内容
脳神経外科の手術はアート(専門の技術)であり、テクノロジーを最大限に利用することで、患者の病態を理解する一助になる。そのために神経画像を用いて治療の作戦を作る必要があるとのこと。
近年では4D-CT、拡散テンソル画像等を用いた研究も行われている。中でもComputational Fluid Dynamics(数値流体力学)を用いて、血管壁にかかるWall Shear Stress(血行力学的ストレス)を算出できると今まで見ることができなかった血管の構造を理解できるようになる。
Diffusion Weighted Image(DWI;拡散強調画像)では、ミクロなプロトン運動を捉えるという特性があり、CTでみえない浮腫を可視化することができる。また発症1日後では高信号(白色)であるが、出血性梗塞が起きやすい時期をすぎると緩徐に低信号(グレー色)に変化していく。これにより、回復期の時期に出血性梗塞の起こりやすさを予測することが出来る。
3D Time-of-Flight MR Angiography(3D TOF MRA;MR血管撮影)では、マクロなプロトン運動を捉えるという特性があり、血液の質量をみることで、破裂リスクを評価することができる。
T2 Star Weighted Imaging(T2*WI;T2*強調画像)では、微小出血を観察することができる。微小出血の有無は脳卒中の発症や再発と関連があり、脳梗塞は5倍、脳出血は50倍発症リスクが高いとの報告もあるとのこと。
CTでは脳出血の再出血予測が可能であり、Blend sign、Black hole sign、Spot signの3つのsignで予測ができるとのこと。Blend signは脳出血増大を最も正確に予測できる。Black hole signがあると血腫体積が大きく、意識レベルが低いことが多く、ない場合の4倍血腫が増大するとの報告がある。Spot signがあると60%血腫が増大し、3ヶ月後の予後は悪くなる。なければ80%安定するとの報告がある。
T1 Weighted Image(T1WI;T1強調画像)では、不安定プラークを見つけることができる。不安定プラークがある症例は水分摂取やバイタル変動に注意をしながらリハビリを実施する必要がある。
会場
2017.6.29