講師 林 克樹先生
誠愛リハビリテーション病院リハビリテーション部
会場 松阪コミュニティー文化センター
講演内容 脳卒中患者のADL訓練の実際
◆ 非常に穏やかな口調の先生でした。ADLの話は確かな知識と臨床技術に支えられて、すっきりと頭に入りました。脳の可塑性から、運動の出力・制御、実践のポイントまで言及されました。
◆ 片手で出来ればよい、ではなく、少しでも麻痺側が参加する両手協応が大切、刺激を適切にいれることで姿勢を変えることが出来る。
◆ 頭頂連合野の障害されたサルでは手の形がおかしくなる、対象物品に対する手の形状づけがうまくいかなくなる。これには徒手的(他動的)誘導をpre-shapingのところから行っていくと良くなる。
◆ 箸動作への介入は尺側の固定が重要。食べる時は昔持っていたお椀の持ち方をさせる、対側の肩の位置を正すことが重要。歯磨きの失行患者には、その前の動作からの続きでさせるとよい。
◆ 起きあがるときに両下肢の過緊張がある人には、後ろ(背中側)から介入した方がよい、つまり前側を邪魔しないほうがよい。
◆ 立てないうちは療法士がきちんと密着して、きちんとした動作させ、足をしっかり地面につかせたほうがよい。麻痺側からアプローチし、麻痺側の連合反応を調整しながら立たせると良い。靴着脱動作は、浴槽足入れ動作につなげる。浴槽動作は、他の動作の数倍パターンが強く出る。
◆ 装具をつける歩行と装具をつけない歩行の両方をするようにしている。また頚髄損傷の自助具もなしの場合を練習した方がよい。かぶり動作はゴムバンドを使って良い動作方法を練習する。
◆ ADLを考えた歩行訓練には、足の様様なステップ訓練が必要なのに、あまり練習されていない。台の昇降には肩甲骨の動きが必要、また会談を降りる時に足尖部から設置できるように、足の「底屈」を教えないと行けない。脳卒中の患者でも手のswingも練習させてあげたい。見かけが大事、これはバランス訓練に通じる。
◆ 上肢と手に必要なのは、到達機能(支持、バランス)操作機能(把持)、邪魔にならない手・コスメティック、コミュニケーション(自己表現・感情表現) - これらを両手協応で。
◆ 以上、講演のごく一部でした。
2003.7.19 Shigeru S