講師 東北大学運動機能再建学准教授 関 和則先生
演題名 電気刺激を用いた機能訓練技術とその臨床 - Techniques and clinical effects of functional electrical therapy
講演内容 電気刺激の歴史から話は始まりました。電気刺激は制御(FES - 麻痺肢の制御、日常生活動作の再建)、治療(TES - 筋力増強、痙縮抑制、随意運動促通)、訓練 (FET (functional electrical therapy)- 電気刺激を利用した機能訓練)と分類されます。TESでは筋収縮力増大、疲労しにくくなる(時間がかかります)、拘縮予防改善、骨密度改善、循環改善、皮膚弾力性改善、保湿性改善、血管新生などが起こります。20-30Hzくらいが痛みを伴わず効率的に筋力増強ができます。一般の電気刺激では筋力増強効果は10-20%と言われていますが、拮抗筋にも電気刺激をして抵抗要素とするHybrid訓練(志波先生)ではより大きな改善が得られます。他動的可動域訓練を電気刺激で行う試みをされたそうですが、なめらかに動かすことがかなり難しいようです。臥位から肩を持ち上げる電気刺激は難しいそうです。サイクリックな刺激を脳卒中の麻痺手にすることで麻痺の促通効果があることが示されました。電気刺激により足圧中心が麻痺側側にシフトしてくることも示されました。FETによる片麻痺歩行の改善も見せて貰いました。変形性膝関節症に電気刺激20Hz, 300μ秒を内側広筋、外側広筋に刺激した場合、膝の伸展が増加したそうです。これは1回の変化としてはきついサポータでもおなじ傾向が得られるのですが、続けていくときに効果があるのは電気刺激のほうのみです。LEMDESという筋電信号をtriggerとして脳卒中患者の下肢や上肢に電気刺激をする方法も紹介されました。
まとめとして「機能補完から機能再獲得へ、適切なセンサーによってフィードバック制御を、運動失調やパーキンソンへの標的拡大」を挙げられて、講演は終了しました。
質疑ではどの機器がよいか、と、使う気満々の質問が出ました。その答えと共に、市販の肩もみ機は電気が上がったり下がったりパラメタが設定できないため、あまり治療には使えない、ともお返事頂きました。
会場 三重県総合文化センター
2009.10.23 SS