第74回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2012.4.24(火) 講演 18:30-20:00
講師
三村將先生 慶應義塾大学医学部精神・神経科教室教授
演題名
高次脳機能障害の診かた - 精神科の立場から
講演内容
高次脳機能障害に関しては、支援面から取り上げられることが多かったと思います。日本高次脳機能障害学会の理事でもある三村先生は医療の専門家・精神科の立場から示唆に富むお話をしてくださいました。
注意や記憶、前頭葉機能障害の症候学などの説明がありました。また、認知リハは、介入->評価->利点と問題点の抽出(保存された機能を見いだす/傷害された機能を見極める/...)->目標の設定->介入、の巡りを説明されました。general stimulating approach / functional adaptation approach / process specific approachとの分類もでてきました。
社会的行動障害に関し、過度の正義感、眼窩部の障害、社会性の神経基盤を説明して戴きました。トロッコのジレンマ(5人が死ぬか、切り替えて別の1人を死なせるか)(5人が死ぬか、1人を突き落として死なせて5人を活かすか) - 合理的プロセスとともに情動的プロセスがあるわけで、この部分が眼窩部の障害で欠けてくるそうです。眼窩部損傷では他人に厳しく自分にあまいとのことです。怒り発作に対する認知的アプローチとして、逸らす等のお話がありました。
運転の問題について以下のようにまとめて貰いました。高次脳機能障害は絶対的な欠格条項ではありません。絶対的な欠格条項は認知症のみです。いいかどうかを決めるのは公安委員会です。医療者は認知機能検査、シミュレータ、家族・同乗者による評価、実車による評価(オンロード)で助言をするに留まります。有効視野(useful field of view: UFOV)が運転能力と深く関わると三村先生は考えているそうです。それを調べるのにVisual field with inhibitory task (VFIT)を紹介されました。
会場
2012.4.24