第75回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2012.7.20(金) 講演 18:30-20:00
講師
出江紳一先生 東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野教授
演題名
身体性を基盤とするリハビリテーション治療戦略の展開
講演内容
身体イメージ=意識的、身体図式=意識下、という組み分けから始まりました。motor imageryは運動イメージと訳されるが正しくは運動表象のほうが正確で、実際に身体を動かすこと無く動作をしてみることです。
このmotor imagery能力定量化の一手段として、Hand mental rotation taskの90度回転の反応時間を用いうることを教えて戴きました。
模倣 - ミラーシステム、Mirror -induced visual illusion. Matthys(2009) を紹介頂きました。ミラー療法ではmirror neuron systemが賦活されず、後部帯状回、頭頂葉楔前部が賦活されるとのことです(Michielsen (2009))。ヘッドマウントディスプレイを用いて提示する動作を模倣するという新たな試みも紹介して戴きました。ビデオ視聴後の運動模倣で上肢運動改善が見られていました。他者関節角度情報は頭頂葉の高次体性感覚2野を賦活させていたそうです。観察する身体に身体所有感を感じることができれば注意を向けられる、とのことです。
幻肢痛の治療 - ChanのNEJM (2007)の報告では、ミラー療法で痛みが減ってくことが示されています。感覚野では無く、運動野の刺激で痛みが軽減するそうです。運動模倣による治療も試みられて効果的な例があるそうです。快適に模倣できる運動範囲と運動速度を調べて無理の無い範囲にすること、治療中は出来る限り力まず、が必要だそうです。
2012.7.22