第80回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2013.5.17 (金) 講演 18:30-20:00
講師
藤田保健衛生大学七栗サナトリウム リハビリテーション医学II講座 教授 前島伸一郎先生
演題名
高次脳機能障害ー評価の実際ー
講演内容
2013.4から七栗サナトリウムに赴任した前島伸一郎先生の得意分野の話をしてもらいます。
会場
内容
高次脳機能障害の評価がいかに大切か、わかりやすく、かつ大量の情報を教えて戴きました。半側空間無視に関してはBIT(ビーアイティーと呼ぶそうです)の解釈 - 通常検査132点以上で個々の検査でひっかからなければok、Catherine Bergego scaleを使った論文例、Bisiachの病態失認の評価法、運動維持困難を閉眼維持などJoyntの基準、Pusher症候群に関するscale for contraversive pushing (SCP)、運動無視のFiorelliの診断基準着衣失行、構成失行、過書、などを話して戴きました。
高次脳機能障害の特徴として、山鳥の「症状の複雑性、不安定性、見えにくさ」を説明戴きまた。へんだなと思うだけでは駄目と教えられました。診察、画像検査、評価、リハビリのどれが先か、評価し目標を決めて訓練をすべなわけです。
Kerteszの方法、書く、投げる、切る、描く、歯を磨く、スプーン箸を使うのうち4つ以上を利き手にするなどが説明されました。教育年数と認知症、癌の死亡率の関係にも触れてもらいました。聞くコツは「20日の頃は何をしていましたか」だそうです。スクリーニングは少しでも異常な人を引っかけようという試みです。MMSEは23/24がカットオフだが、教育年数が高ければ24-26は変だ、とのことです。ただ、MMSEとRCPMのカットオフを組み合わせても、今一つ認知症を見いだせないことも示されました。左半球損傷の患者でMMSEが低いときは、失語症を疑う、と考えてもよいとのことでした。WAIS-III、記憶、Rey、WMS-R、と話して戴いて、健忘が続いているかのGalveston orientation and amnesia test (GOAT)、日本版リバミード行動性記憶検査は生活に近い場面が想定できることがよいなどと教えて貰いました。
前頭葉の外側は遂行機能障害、眼窩面は脱抑制、社会行動障害、帯状回は自発低下などとの特徴があります。Frontal assessment battery (FAB)、Wisconsin card sorting test (WCST)、BADS、社会行動障害ではギャンブリング課題、日本語版Neuropsychiatric inventory、日本語版Frontal Behavioral Inventory、自発性低下には島根医大のやる気スコア、注意にはCATS、などと説明して貰いました。
2013.5.19