第83回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2013.10.2(水) 講演 18:30-20:00
講師
琉球大学大学院 医学研究科医科学専攻 整形外科学講座
金谷文則先生
演題名
末梢神経損傷のリハビリテーション
講演内容
整形外科の緊急手術の必要な疾患からお話が始まりました。
脱神経筋は1年で非可逆的変性をきたします。縫合した軸索の再生は一日1mmです。腕神経叢の断裂だと遠位部まで届かないことになってしまいます。腕神経損傷の全型にはdouble free muscle transferがよいとのことです。薄筋を2本使って、副神経を繋ぐmicrosurgeryの必要な方法です。上位型にはOberlin法など神経移行術が適応となるそうです。
切れた1本の軸索から3-20本が遠位にのびていきます。縫合の際にはどの位置に運動神経があるのかを把握して合わせるようにします。しかし運動神経の中にも感覚神経があり(筋紡錘とかからの求心神経があるので)、軸索の1本より糸のほうが太く軸索を合わせることは不可能であり、神経過誤支配は不可避です。神経過誤支配では、同時収縮の問題があります。
神経延長は2週経ってからするとよい、と教えて戴きました。神経断裂の場合、感覚障害の検査には一番鋭敏な2-PDを用いるよう指導されました。目で見る(、音源も配置する)感覚再教育では、2PDとかはよくなりませんが、物体認識がより早できるようになります。感覚が戻る前に、物体認識をを良くできたという文献も紹介頂きました。
神経断裂でneurotrophic factorが途絶えることによる筋萎縮は、不動性萎縮よりずっと強いものです。これをsensory protection(運動神経に感覚神経を繋ぐ)で防ごうという試みがなされているそうです。
重度の手根管症候群にはCamitz変法という長掌筋を使う方法を用いているそうです、これは対立運動のアゴニストであるとを利用しています。分娩麻痺はlow energy injuryなので回復してくるのですが、過誤支配がおこりやすく、肩外転すると肘が屈曲するなどが典型的のことでした。Nerve stem cellも研究が始まっています。人工神経も使えるようになったそうです。
会場
2013.10.2