第84回七栗リハビリテーションセミナー
日程
2013.12.13(金) 講演 18:30-20:00
講師
向野雅彦先生 旭川医科大学病院リハビリテーション科
演題名
use-dependent plasticityの基礎と臨床への応用
講演内容
脳の可塑性に関する新しい知見と、それをどのように臨床に結びつけるか、わかりやすく説明戴きました。Fire together, wire togetherというHebbの法則、long-term potentiation (シナプス後膜のAMPA受容体が増加する)、中脳歩行誘発野(MLR)、腰髄膨大部のCPG、歩行パターンに関わるのは感覚入力と脳からの入力であること、訓練量が多い方が改善する証拠(Cha 2007)、機能改善は課題特異的である証拠、他動運動より自動アシスト訓練のほうが改善する、脊髄を介した運動出力がより重要などをまとめて貰いました。
向野先生の研究では脊損ラット訓練開始時期で効果が異なるかに関しては、早期開始群のみにステップ幅などの増加が見られ、それは分離が進んだためとのことです。しかしMCA梗塞ラットでは早期からの麻痺側のみの強制使用ではHummが損傷領域拡大(グルタミン酸依存性)、Blandが機能低下を報告しています。白質損傷モデルでは早期からの訓練でも改善が見られたとのことで、病巣に寄るのかもしれません。
変化の機序は、神経栄養因子を介したシナプス再編成、シナプスの興奮-抑制バランスの変化が考えられます。BDNFの作用をブロックすると損傷後の機能回復が阻害され、運動によって運動神経への抑制入力増加が抑えられるそうです。さらに投薬との併用、再生医療との併用にも触れて貰いました。
会場
2013.12.29