三重県、青山高原の裾野、藤田学園の原点
25周年を迎えて
看護部長 中村純子
昭和62年4月に開設された藤田保健衛生大学七栗サナトリウムも、早25周年を迎えることになりました。その間、病棟やセンターの開設など幾多の変遷を経て今日の七栗サナトリウムがあります。これまで暖かく見守り、ご支援頂いた方々に改めて感謝申し上げますと共に、病院運営に努力してくれました職員と共に25周年を迎える喜びを分かち合いたいと思います。
超少子高齢化社会にあります今の日本。医療、介護に求められているものは、病院・病床の機能分化・機能強化、在宅医療の強化、チーム医療の推進、医療と介護の連携等です。これらのキーワードから、七栗サナトリウムは開設当初から10年先、20年先の日本を見据え成長してきたことに驚かされます。同時に学園創設者藤田啓介先生、前病院長渡邊正先生、現病院長園田茂先生の創造性と先見性に七栗サナトリウム職員としての誇りを感じます。
その中のひとつ「チーム医療の推進」は、当院の医療に不可欠な機能として位置づけられるようになりました。平成16年、NSTの活動がスタートしました。今では全国から研修生を受け入れるまでになりましたが、導入当初は幾多の困難に遭遇。多職種が集まり白熱した議論の末、導入に漕ぎつけたと聞き及んでいます。
七栗サナトリウム看護部は、専門性の高い医療と共に成長してまいりました。リハビリ看護では、看護師、介護福祉士がリハビリテーション的な視点をもってケアにあたっています。つまり「患者さんのもてる力を信じ、自立支援をする」、「自分でできることは自分でしていただく」を基本としています。今後は全国に先駆けロボット導入による医療や介護を目指します。看護師、介護福祉士には新たな役割が求められるでしょう。緩和ケアでは、患者さんやご家族にとってできるだけ良好なQOLを実現させるため、全人的ケアの視点でケアにあたっています。人生経験の浅い看護師にとって患者さんを全人的に理解することは容易なことではありませんが、日々のカンファレンスや定期的な症例検討会により理解を深めています。一方で高齢者の多い当院での転倒や離棟リスク管理は、管理者が日々葛藤する問題です。管理の目標は安全だけではありません。患者さんの尊厳の担保、運動機能の保持を考えますと正直、対策に限界を感じることは多々あります。
私が当院に着任し感心したことは、患者さんの清潔がきちんと保持されている点です。全ての病棟において患者さんの日常生活自立度は低く、援助が求められます。一般的に自立度の低い患者さんの身体の清潔は清拭です。しかし当院では看護師や介護福祉士が汗だくになり週2回、大浴場で入浴介助を行っています。入浴は清潔保持ばかりではなく、患者さんの安楽、合併症予防、治癒力へつながっています。今後もひとりでも多くの患者さんに入っていただく努力をしてまいります。 現在の七栗サナトリウム看護部を担う私たちは、諸先輩方が築かれた基盤を元に、更に発展させるべく努力を重ねてまいりたいと思います。今後も変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。