三重県、青山高原の裾野、藤田学園の原点
七栗サナトリウムでの2年間
藤田保健衛生大学病院 薬剤課長 矢野裕章
七栗サナトリウム開設25周年、誠におめでとうございます。そして、七栗サナトリウムの開設・運営にご尽力いただいた諸先輩方、並びに、現在ご勤務ただいている病院職員、関係者の皆様方のご努力の賜物と考えております。
私は、1998年から2年間、七栗サナトリウム薬剤部に勤務させていただきました。名古屋からの単身赴任で不安もありましたが、皆様方の暖かいご指導、ご支援により、そのような不安は全く不要でした。見渡す限りの田園風景は、名古屋に住んでいる私にとっては、新鮮で、のどかな風景に映りました。春には菜の花、夏はあたり一面の緑、秋には裏山の紅葉と、四季折々の美しさが、私の目を和ませてくれました。近くの畑の横を散歩していると、藤田啓介先生にお世話になったと、野菜をいただくこともありました。大変感動いたしました。
この七栗サナトリウムで勤務した2年間は、大学病院では経験できない多くのことを勉強させていただきました。もちろん規模は第一教育病院よりはるかに小さく、内科、外科の他、リハビリテーション科、緩和ケア病棟、ディケアなどがあり、私にとって初めての領域でした。病院は患者さんを含め、職員全員がアットホームな雰囲気で、院長、事務長から補助員の方まで、誰ともなくフランクに話ができる環境でした。大学病院では経験できない、個々の生活に深く踏み込んだ医療を体験することができました。幸いにも良い人々に巡り会え、第一教育病院と異なった環境で仕事ができたことは、自分にとって大変勉強になりました。大変お世話になりました。
緩和ケア病棟では、末期の癌患者さんのケアということで、これまで大学病院とは違ったコンセプトで治療がなされており、無理な治療をせず、大量の麻薬を使った疼痛緩和治療が非常に驚きでした。特別に知り合いという患者さんではありませんが、趣味が合い、病室にたびたびお邪魔したこともありました。七栗サナトリウムでは、毎月のように季節の行事が行われており、ひな祭り、七夕、クリスマスなどなど、毎月のように年中行事があり、趣味のマジックを披露する機会も与えていただきました。
七栗といえば温泉。特に榊原温泉は湯の質が良く、施設内にも温泉の湯を利用した施設があります。仕事が終わってから、近隣の温泉施設を利用しました。このような立地条件が名古屋近郊にないのが残念です。これからも、七栗サナトリウムの特徴を生かし、世界に誇れる施設として患者さんのために発展していくことを願っております。皆様、大変お世話になりました。