バランス練習アシストロボット (BEAR)
当院では、藤田医科大学とトヨタ自動車が共同開発したバランス練習アシストロボット(Balance Exercise Assisted Robot:以下BEAR)を使用した、バランス練習を実施しています。
立ち乗り型パーソナル移動支援ロボットとテレビゲームとを組み合わせたものであり、搭乗者が前後に重心を移動するとロボットは前後に、左右に重心を移動するとロボットは旋回する仕組みになっています。
従来のバランス練習では、適切な難易度が存在しない、練習が退屈であるなど、多くの問題点が指摘されています。「楽しいバランス練習を練習者に提供したい」というコンセプトのもと開発されたBEARでは、ゲーム感覚で練習を行うことができるため、飽きることなくバランス能力を高めることができます。
ゲーム内容はテニス、スキー、ロデオの3種類です(図1)。テニスでは重心の前後移動でキャラクターを操作し、コンピューターが打つボールを打ち返す様にコントロールします。スキーでは重心の左右移動でキャラクターを旋回させ、ゲートを潜りながら雪面を滑走します。ロデオではロボット(馬)が前後左右に自動で動くため、円の外側にはみ出ない様にコントロールします。
図1. 各ゲーム画面
ゲームレベルは1〜40と幅広くありますが、1ゲーム終了毎にゲームの成績によってレベルの上下判定が行われるため、常に自分に適した難易度でのバランス練習を実施することができます。また、ゲーム終了しレベル判定がなされた際に、その時の練習結果を詳細に表示することができます。
それによって、搭乗者は前後左右どちらの方向に体重が乗りやすいのかなど、課題による得意不得意の傾向を確認することができます。療法士がそばにつき、ハーネスを使用しながら実施するため安全に練習を行うことができます。
研究実績
<論文>
Yanohara R, Teranishi T, Tomita Y, et al. Recovery Process of Standing Postural Control in Hemiplegia after Stroke. J. Phys. Ther. Sci. 26: 1761–1765, 2014.
<学会発表>
杉浦健太, 冨田 憲, 藤居あみ, 他:脳血管疾患患者への重心動揺検査の信頼性の検討.第8回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会, 2024.
赤堀玄武, 三宅康介, 冨田 憲, 他:5m 継ぎ足歩行テストにおける継ぎ足歩行指数(TGI)とその他バランス機能評価との関連性.第21回日本神経理学療法学会学術大会, 2023.
三宅康介, 冨田 憲, 中島実咲, 他:脳卒中片麻痺患者におけるMini-Balance Evaluation System Testと重心動揺検査との関係.第6回日本リハビリテーション医学会秋季学術大会, 2022
中島実咲,他:Balance Exercise Assist Robot(BEAR)を用いた介入によりバランス機能と歩行能力の向上を認めた一症例.第5回日本リハビリテーション医学会秋季学術大会,2021.
村松永陽,他:バランス練習アシストロボットの介入により静的・動的安定性の改善を認めた一症例.第56回日本リハビリテーション医学会学術大会,2019.
※ 学会発表は新しいものから5演題のみ掲載
連絡先:rehab7n@fujita-hu.ac.jp
<2025.5.20>