歩行分析システム
当院では、三次元動作解析装置(KinemaTracer®︎ :KISSEI COMTEC社製)を用い、脳卒中片麻痺患者さんの歩行分析を実施しています。歩行の計測は、動く床であるトレッドミルの上を20秒間歩行し、6台のCCDカメラにて撮影を行います。
この計測により一歩の長さ、左右のそれぞれの脚で支えている時間や振り出している時間(時間・距離因子)、姿勢の対称性、歩く姿勢の概要(リサジュー概観図)、関節の角度などがわかります。また、脳卒中患者さんで生じやすい異常歩行を同定することができ、歩行能力低下の原因の理解および治療戦略の検討、また治療効果を判定する手段として活用しています。
トレッドミル歩行が可能な患者さんを対象に、入院後2週、4週、6週、退院前に計測を行い、詳細な歩行分析を行います。その他、装具の検討や電気治療を併用する際に詳細な分析を行うこともあります。結果は、フィードバックレポート(図1)を発行し、患者さんにご説明致します。
図1. フィードバックレポート
歩行を定量化(数値化して表現すること)したデータを大規模に分析した報告はまだ多くありません。当院の歩行分析研究では、歩行の改善経過や異常歩行と身体機能(運動麻痺や感覚麻痺、筋力、関節の可動域など)の関係、各種治療介入の効果を検証しております。
研究実績
<論文>
Tomida K, Ohtsuka K, Teranishi T, et al. Effects of change in walking speed on time-distance parameters in post-stroke hemiplegic gait. Fujita Med J. 2022 Nov;8(4):121-126.
冨田 憲,園田 茂,谷野元一,他:高強度・高密度リハビリテーションによる歩行再建.Jpn J Rehabil Med 2016;53:12-16.
Kawakami K,Tanino G,Tomida K,et al.:Influence of increased amount of exercise on improvements in walking ability of convalescent patients with post-stroke hemiplegia.J Phys Ther Sci,28(2):602-606.2016.
Yamada S, Tomida K, Tanino G, et al. How effective is the early fast treadmill gait speed training for stroke patients at the 2nd week after admission: comparison with comfortable gait speed at the 6th week. J Phys Ther Sci. 2015;27:1247–50.
Wada Y, Kondo I, Sonoda S, et al. Preliminary trial to increase gait velocity with high speed treadmill training for patients with hemiplegia. Am J Phys Med Rehabil. 2010;89:683-687.
<学会発表>
堅田理紗子,他:回復期初発脳卒中片麻痺者におけるトレッドミル歩行の歩容の経時的変化.第20回日本神経理学療法学会学術大会.2022.
三澤勇真,他:三次元動作解析装置を用いた脳卒中片麻痺患者の走行分析.第42回臨床歩行分析定例会.2021.
小川浩紀,他:ツイスターを用いた歩行練習による歩容の経時的変化.第42回臨床歩行分析定例会.2021.
鈴木真歩,他:ツイスターの使用が脳卒中片麻痺患者の歩容に及ぼす影響.第35回東海北陸理学療法学術大会.2019.
※ 学会発表は新しいものから5演題のみ掲載
連絡先:rehab7n@fujita-hu.ac.jp
<2023.1.11>