2018/6/20(水)18:30-20:00
三鬼達人先生 藤田保健衛生大学病院看護長
チームアプローチで挑む摂食嚥下リハビリと口腔ケア〜藤田保健衛生大学病院での取り組み 看護の立場から〜
看護師の立場から摂食・嚥下リハビリテーションのチームアプローチにおける実際の取り組みについてわかりやすくお話をして頂いた。
摂食・嚥下障害患者の多い病棟には、摂食・嚥下障害看護認定看護師(certified nurse of dysphagia nursing:CNDN)を配置しており、CNDNは実践、指導、相談を中心に熟練した看護知識と技術を用いて、看護全体の質を向上させる取り組みをされていた。CNDNによる摂食嚥下障害臨床的重症度判定分類(dysphagia severity scale:DSS)の評価結果は嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)を用いた嚥下回診の結果と比較しても91%の高い一致率であった。実際の脳卒中センターでの取り組みでは誤嚥性肺炎の発生率が8.7%であったのに対し、取り組み一年後には誤嚥性肺炎の発生率が1.9%まで改善されていた。取り組み内容は入院時に口腔・嚥下機能評価、口腔ケア方法の決定を行い、食事開始時には摂食評価、食事開始2日以降は摂食評価と全身状態の管理が行なわれていた。またこれらの評価と実践が誰でも高い水準で行えるように、食事開始条件を明確化したり、評価手順もフローチャート化されたりと誰でもわかりやすく、実践しやすい口腔ケア・嚥下プロトコールを作成されていた。口腔ケアの評価にはOHAT(oral health assessment tool)を使用されていた。OHATは30分のレクチャーを受ければ誰でも正確に評価できるツールである。またOHAT日本語版説明書資料や説明動画を無料で配布されており、施設や訪問などの現場でもOHATを利用できるよう取り組まれていた。口腔ケアの方法もプロトコール化されており、個々の患者に合わせた口腔ケアの方法をリーフレットにしてベッドサイドに掲示したり、水さえ用意すれば口腔ケアができるように必要な備品を病室に常備したりするなど、口腔ケアを行いやすい環境作りにも取り組まれていた。
上記の内容を具体例や注意点などを提示しながら分かりやすくまとめて頂き、各現場で摂食・嚥下リハビリテーションのチームアプローチを行う上での有益な情報をたくさん頂くことができた。
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<2018.10.10>