2018.8.21(火)18:30-20:00
小川敬之先生(京都橘大学 健康科学部作業療法学科 教授)
認知症のリハビリテーション -関係の再構築-
日本は急速に高齢化が進み、現在では日本の高齢者割合は30%を越えており、世界でも類をみない高齢化社会になっている。また高齢化に伴い認知症の方も急速に増加している。世界では認知症の方が4750万におり、3秒に一人の割合で認知症患者が増えている。そんな現状の中、認知症患者をどのように理解して、どのように関わりあいを持つべきか具体的な症例を提示して頂きわかりやすくお話して頂いた。また高齢者や認知症の方が働ける環境作りや子供への認知症の啓発活動などの社会的な取り組みについてお話し頂いた。
認知症は記憶障害や認知機能低下など「病気」としての知識だけでは課題解決は困難であり、それらの認知機能の低下により、その人がどのような風景を見ており、どんな状況で混乱しているかを考えることが生活支援の上で大切である。近年では認知症の中心的な症状のとらえ方が従来の記憶障害から社会的認知障害(関係性の障害)へとシフトしている。そのため認知症の方を理解する上で環境・物との関わり合いや人との関わり合いを理解することが大切である。認知症の方が日常の動作がうまくいかないときのポイントのひとつに「仕切り直す」ことがある。動作がうまくいかないとき、認知症の方の中では混乱が起こっており、無理やり介助を行うことで認知症の方を怒らせてしまうことがある。そのような場合は認知症の方の中でどのような混乱が起こっているか理解し、動作を一度仕切り直し、同じ混乱が起こらないように動作をうまく誘導してあげることが認知症の方との関わり合いのコツであると教えていただいた。
また社会的な取り組みとして地域や行政・企業を巻き込みながらいろんな活動をされていた。認知症や高齢者の方が有償で働けるように活動している「働けるうちは働くプロジェクト」や地域の図書館や小学校の図書館に認知症関連の本や絵本をおいて認知症に対する理解を深める取り組みなど、これからの地域共生社会のモデルを提示していただき大変興味深い内容でした。
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<2018.10.10>