セミナートップ  今後の予定  過去の一覧  会則について 

第121回七栗リハビリテーションセミナー

日程

2021.10.8(金) 18:00-19:30

講師

松浦 慶太先生  三重大学大学院医学系研究科神経病態内科学 講師

演題名

痙縮に対する治療戦略

講演内容

 脳卒中の発症後、時間の経過とともに運動麻痺と一緒に出現することが多い症状の一つに痙縮がある。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくかったり、勝手に動いてしまう状態のことである。手指が握ったままとなり開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側の方に曲がってしまうなどの症状がみられる。
 本日はこれらの痙縮に対する治療法について、三重大学脳神経内科の松浦慶太先生をお招きし、ご講演いただいた。
 痙縮の治療の一つにボツリヌス療法がある。ボツリヌス療法とはボツリヌス菌が作り出す天然のタンパク質を有効成分とする薬液を筋肉内に注射する治療法である。利点は局所的に有効な点と反復投与が可能な点がある。しかし効果が3ヶ月持たず反復投与でも改善が得られない場合がある。ボツリヌス療法の効果が不十分な場合にバクロフェン髄注療法(以下、ITB療法)が検討される。
 ITB療法とはポンプを腹部に入れカテーテルを介してバクロフェンという薬液を常に脊髄の周辺に送ることで痙縮の症状を和らげる治療法である。具体的な効果は筋・関節の痙縮軽減、筋攣縮(スパズム)の軽減、腹部の締め付け感の軽減、呼吸機能向上、痙縮による痛みの軽減、睡眠障害の改善、日常動作の改善などがある。利点は全体的に緊張を落とすのに有効である点、時間帯などによっても細かく調節可能な点である。不利点は手術が必要な点、定期的な薬液補充が必要な点、ポンプが大きい点である。
 今回はITB療法を行い、その結果歩容の改善や痛みの軽減が得られた症例をご紹介いただいた。いずれの治療法も有効であるが、それぞれ異なった効果、問題点を有するため、それぞれの利点を組み合わせた治療が必要である。
 当院へも多くの脳卒中患者さんが入院される。今回ご講演いただいた内容を踏まえて、更に質の高いリハビリを提供していけたらと思います。

会場

藤田医科大学七栗記念病院 七栗記念ホール

〒514-1295 津市大鳥町424−1

<2021.11.3> 

                                                                  

 

    

↑ PAGE TOP