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第123七栗リハビリテーションセミナー

日程

2022.9.9(金) 18:00-19:30

講師

佐伯 覚 先生(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座 教授) 

  

演題名

脳卒中・脳外傷者の自動車運転

講演内容

 近年の高齢者や脳外傷者の交通事故は社会問題となっている。脳卒中治療ガイドライン2021は、「自動車運転再開の希望がある場合、その可否を慎重に判断することが勧められる(グレードA)」とされている。日本リハビリテーション医学会では、脳卒中・脳外傷者の自動車運転に関する指導方針が作成され、自動車運転再開の可否に関することやその支援について整備されてきている。今回は、脳卒中・脳外傷者の自動車運転についてわかりやすくお話をいただいたので、以下に要旨をまとめる。

 自動車運転には、自動車を操作するための身体機能のみでなく、注意や視空間認知機能などの高次脳機能全般が必要となる。そのため、脳卒中や脳外傷後に自動車運転再開の希望がれば、これらの評価が必要になる。自動車運転の評価は、身体機能、認知機能評価や自動車運転シミュレータ(DS)などのOff-road検査と自動車教習所などで行われるOn-road検査がある。自動車運転シミュレータは、実車評価前のスクリーニング評価には有用で、訓練機器としても使用できるが、各メーカーで特徴が異なるため、その特徴を把握した上で利用する必要がある。

 自動車運転は、注意機能、視空間認知機能、言語機能、遂行機能、記憶機能、病識、運転能力の自覚、感情コントロールなど様々な高次脳機能を必要とし、これらを複数の検査で総合的に評価する必要がある。例えば、失語症を有する患者であれば、言語機能を介さない神経心理学的検査を参考に運転能力を判断することが必要となる。運転評価には上述したDSがあるが、これは危険な体験などを再現することが可能な反面、運転操作感覚を忠実に再現しているとは言えない。そのため、実車教習が必要になることがある。福岡県では、複数の教習所と連携し、実車教習が可能となっている。脳外傷については、脳卒中と同様に高次脳機能障害や身体機能障害の評価の他に複視などの視野障害、てんかんなどの合併症を把握する必要がある。

 脳卒中・脳外傷後は意識が清明で、机上検査が実施できる耐久性が回復し、全身状態が安定した時期に評価を実施すること、視覚機能障害、運動機能障害、高次脳機能障害、症候性てんかんなどの合併症を把握することが重要である。

 

会場

藤田医科大学七栗記念病院 七栗記念ホール

〒514-1295 津市大鳥町424−1

<2022.9.13> 

                                                                  

 

    

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