2024.3.6(水) 18:00-19:00
平野 哲 先生(藤田医科大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座 准教授)
リハビリテーションロボット - 運動学習理論に基づいた活用方法 -
世の中には数多くのリハビリテーションロボットが存在しており、4分野に分類すると分かりやすい。リハビリの中で使用する練習支援、障害が残った方が使用することで目的とする動作を可能とする自立支援、介護の負担を減らし安全にする介護支援、認知症の方の判断を助け情動を安定させることに役立つ認知情動支援である。また、脳卒中リハビリに対するロボット練習は、ガイドラインにてCLASS Ⅱaの推奨を得ている。今回は、運動学習の観点から練習支援型リハビリテーションロボットの有用性について分かりやすくお話をいただいたので、以下に要旨をまとめる。
どのような運動であっても、運動が上達する時には運動学習が起こる。従って、リハビリテーションの大部分は運動学習と重複している。運動学習の主たる変数として、転移性、動機づけ、⾏動変化、保持/応⽤、フィードバック、量(頻度)、難易度がある。リハビリテーションロボットは、これらの変数を最適化する目的で使用される。ヒトの介助はリスクを見越して行うため、患者の学習機会を減らしてしまう。また、装具を使用した歩行練習では、療法士が動きを介助することで患者の運動学習が進まなかったり、代償動作が定着してしまったりする可能性がある。これらの問題点を改善し運動学習を促進させるために、歩行練習支援ロボット(ウェルウォーク)が開発された。ウェルウォークの使用により、常に最適な難易度での練習、オンタイムでの客観的フィードバックが提供できる。低歩行能力でも練習量が増加し、最初から最終歩容類似の練習が可能となることで転移性が向上する。これらが、装具を用いた歩行練習の問題点を解決し、運動学習を促進すると考えられている。ウェルウォークを使用した患者群では、使用しなかった群と比較して、歩行自立度が早く改善する、最終的に歩行が自立する割合が高い、良好な歩容を獲得するなどの研究成果が出ている。
リハビリテーションで新しいスキルを獲得させる際には運動学習が起こる。ロボットが支援するリハビリテーションも運動学習を促進するものでなければならない。ロボットはあくまで運動学習を支援するものであり、医療者は常に運動学習を意識しながらロボットを活⽤しなければならない。
講師の平野 哲先生(右)と座長の奥山夕子 リハ部副部長(左)
藤田医科大学七栗記念病院 七栗記念ホール(オンライン形式)
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