2024.6.21(金) 19:00-19:40 学生向け オンラインセミナー形式
講演1:渡邉 誠 先生(藤田医科大学七栗記念病院 リハビリテーション部 専門技師)
講演2:角田哲也 先生(藤田医科大学医学部 連携リハビリテーション医学講座 講師)
講演1:臨床家の視点! 検査結果だけではない高次脳機能障害をみるコツ
─ 半側空間無視はこう評価しよう!─
講演2:PTOTST必見! 回復期リハビリテーション病棟での転倒・事故
講演1:臨床家の視点! 検査結果だけではない高次脳機能障害をみるコツ ─ 半側空間無視はこう評価しよう!─
高次脳機能障害は、症状のわかりにくさや定義の難しさなどから、学生や新人から「難しい」「わからない」などの意見を聞くことが多い。今回は、半側空間無視(以下、USN)の評価をテーマに定義、症状のみかたから評価手順、解釈まで講義したので以下に要旨をまとめる。
USNは、「病巣と反対側の空間に提示された刺激に反応、報告したり、刺激を定位することの障害」とされている。臨床で多く目にする症状で、ADL自立や自宅復帰の阻害因子となる。評価は、まず、観察から開始し、右に目線が向いていないかなど、訓練中の様子を観察する。その後、半盲や注意障害との鑑別を行い、BITなどの机上評価を行う。経度のUSN症例では、机上評価でカットオフを上回ることが少なくない。そこで、机上評価は結果のみでなく、動作の過程を観察することが必要となる。また、USNには病巣により症状が異なるため、机上検査を複数行い、検査項目ごとに解釈するのが良い。次にADL評価を行う。ADL評価は、さまざまな場面で症状が出ていないかを評価する。定性的な評価にはCBSがある。机上評価ではUSNが見られないのにADL評価で見られることがある。このような場合は、USNがあると解釈すると良い。
USNは、まず、症状を理解し、評価手順を理解する。評価は机上だけでなく、ADL評価や観察評価と合わせて行う。評価結果や評価時の観察から症状の解釈を行うことが必要である。
講演2:PTOTST必見! 回復期リハビリテーション病棟での転倒・事故
回復期リハビリ病棟では高頻度で転倒が発生する。また重症度が高い状態で入院されることも増えており、多彩な合併症や事故(インシデント)を経験する。今回は、回復期リハビリ病棟での転倒・事故をテーマに、基礎的な内容から実際の症例の紹介まで含めて講義したので以下に要旨をまとめる。
転倒はいくつかの要因が重なり合って発生する。回復期リハ病棟や施設では、急性期病院よりかなり高い率で転倒が発生している。活動性と安全性の関係はトレードオフ(両立できない)関係である。入院の初期(始めの1週間)の転倒頻度が高い傾向がある。移乗・歩行時の転倒は、それぞれの動作が自立間近な状態のときに多く発生する。歩行での転倒は骨折につながりやすいため、自立にむけて慎重に評価していく必要がある。
重症度が高い状態、合併症併発・再発がおこりやすい状態で入院されることが、全国的に増えている。当院でも訓練中の急変例、死亡例などが発生している。バイタルサインの注意点や合併症等の基本的な知識の整理を行いつつ、適宜担当の医師への確認を行いながらリハビリを進めるべきである。
転倒・事故に関しては、個々の症例を振り返りつつ、個人の責任ではなく、システム(病院全体)として対処・対策していく。
藤田医科大学七栗記念病院 七栗記念ホール(オンライン形式)
〒514-1295 津市大鳥町424−1
<2024.7.31>