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第130回七栗リハビリテーションセミナー

日程

2025.2.7(金) 18:00-19:00

講師

講演:石田 藤麿 先生(独立行政法人国立病院機構 三重中央医療センター 脳神経外科)

演題名

講演:エビデンスに基づく脳出血の治療戦略

講演内容

講演:エビデンスに基づく脳出血の治療戦略

 脳出血を解剖と病態整理からエビデンスに基づいた治療法、予防について、詳しくお話をいただいたので,以下に要旨をまとめる。
 脳出血の予後は脳梗塞に比べて悪い。脳出血の治療を行うにあたり、脳出血の病態整理を理解する必要がある。脳出血を「脳血管がきれた」と理解するのではなく、「脳動脈の壊死or微小動脈瘤の破裂」と理解する必要がある。尾状核へは前大脳動脈、被殻へは中大脳動脈、視床へは後大脳動脈からの細動脈から血流が流れている。血管は外膜・中膜・内膜の3層の膜で構成されている。これら膜の変性により血管壁脆弱になり、脳出血を引き起こす原因となる。
 脳出血の診断では、血腫の体積の測定、増大signの観察、CT分類を行う。血腫の体積はABC/2 methodで計測する。急性期の脳出血患者には,強化血圧コントロールが行われている。強化血圧コントロールにより,機能予後が改善する。また,早期強化血圧コントロール,血糖コントロール,発熱治療,抗凝固療法の迅速な是正が予後を改善することが示された(INTERACT 3)。
 脳出血の内科的治療はCTで血腫量,CT分類,増大sign,脳ヘルニア所見を読影し,強化血圧コントロールを過度の降圧は避けながら開始する。ICUでは血糖,発熱,凝固系の管理を行う。脳出血の外科的手術には,神経内視鏡下血腫除去術,定位的血腫除去術がある。神経内視鏡下血腫除去術は,開頭血腫除去術や内科治療よりも機能予後を改善させるとの報告もある。
 脳出血の予防は,高血圧の治療を行うことである。高血圧の治療には,炎症を起こすスイッチであるNFκBを抑制することが必要である。ω3脂肪酸,ポリフェノール,ビタミンD,発酵食品,食物繊維,スパイスなどの摂取が勧められる。

 

講師の石田 藤麿 先生(左)と座長の平野 哲 副院長(右)

会場

津市久居アルスプラザ ギャラリー

<2025.3.17> 

                                                                  

 

    

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